目 標
日常生活に必要な数量や図形などに関する初歩的な事柄についての理解を深め、それらを扱う能力と態度を育てる。

@「日常生活に必要な」とは、
・指導される数量的内容が、ものの数を数えたり、お金の計算をしたり、調理実習で材料の重さを量るなど、生徒がよりよい生活を営む上において、また、社会生活や自立のための基礎能力として、役立つものでなければならないということ

A「数量や図形などに関する初歩的な事柄についての理解を深める」とは、
・初歩的な数、量、計算、図や形、位置関係のほか生活に必要な視点からの実務について、基礎的な事柄の理解を深めること

B「それらを扱う能力と態度を育てる」とは、
・数量、図形などに関する初歩的な学習の内容を日常生活に生かすための技能や、その技能を実際に使おうとする意欲や態度を育てること

学習内容
「数と計算」の観点
(1)初歩的な数量の処理や計算をし、日常生活の中で使う
ポイント 学習内容
初歩的な数量の処理をする 「初歩的な」とは、
・おおよそ3位数までの数や量を取り扱う
「数量の処理をする」とは、
・ものの数え方の工夫
(はがきやおはじきなどの具体物を10ずつまとめ、それをさらに10個集め、その大きなまとまりを100であると把握すること)
・正しく数える
(操作しやすい素材として紙、封筒、釘などを数えること、1,000までの数え方)
・やや広い範囲の数の表し方や読み方
(3位数までの222、220、202など)
・数の大小、順序及び0の意味
(何もない、空位、基準の位置)
加法減法の計算(数の合成分解)
・適用する場の基本的なもの(増加、合併、減少、求差、不足など)を取り上げ、その意味を理解し計算方法を知ること、筆算形式の定着など計算技能が十分身に付くようにする
・数系列、10の補数
(文化祭の看板に10個の造花を取り付ける、7といくつで10になるかなど)
・単位を揃えることの意味(位取り)
・繰り上がり繰り下がりののある計算
・乗法
(2の段、5の段、3の段の九九)
・除法
(等分除や包含除について、2つや5つずつに分けることの意味を十分に図る



「量と測定」の観点
(2)長さ・重さなどの単位が分かり、測定する
ポ イ ン ト 学 習 内 容
長さ・重さなど 「など」とは、
・太い細い、厚い薄い、深い浅い、遠い近い、容積(かさ)、広さ、温度など
単位が分かり、測定する ・簡単な単位を用いた間接的な比較ができる(ものさし、秤、計量カップなどを使用した測定方法やそれぞれの単位関係について)
長さ ・cm、mなどの単位を用いて数量化
・基点を確認した上で、ものさし(30cm、1m)で様々なものを正確に測定したり、直線を引くことなど
・身長計や20m程度までの長さが測れる巻尺を使用
「100cmは1m」であることの指導
・板、布、テープなどを素材として体験的に測定
・50m、100m走などを体験を通して理解
重さ ・例えば、調理実習などを通して属性にとらわれず重さを抽出し、「100g」「1kg」を取り扱う
・1kgは、1,000gの関係が理解できなくても、単位に慣れる
温度 ・温度計や体温計の目盛りを見ての測定
・冷たい、熱い、寒い、暑いなどの体感的理解を手掛かりに、温度を意識できる
・体温計では、発達段階により「○度○分」という読み方を取り扱う
広さ ・広い・狭いの比較の指導
(黒板や画用紙のような平面的なものについての広がり)
容積(かさ) ・任意の単位
(バケツ3杯分の水、大さじ1杯分のしょうゆなど)を用いた比較の指導
・基準容器(計量カップ)で正確に計量する技術を指導することにより単位「リットル」を取り扱う(cc、ml)
・数値化されたものが実感としてとらえられ、より合理的な生活が営めるようにする
(1mや1kgの実感をつかむ、5mや10mの長さがおおよそ目測できることなど)

 


「図形・数量関係」の観点
(3)図形の特徴や図表の内容を理解し、作成したりする

ポ イ ン ト 学 習 内 容
図形の特徴を理解し作成する 直線や辺や直角に関心をもってその数に着目したり、大きさを調べたりするなど、分析的に図形をとらえること
例えば
・定規を使って直線を引いたり、直角が分かり、三角定規を使って直角になっているものを探すことにより、正方形や長方形、三角形の違いを操作を通して理解する
・コンパスを使ったこまづくりなどを通して円の性質についての学習を行う
・位置関係については、「上下」「前後」「左右」の3種類を、基準点を抑えて理解できるようにする
(上から○番目、左から○番目のロッカー」など、具体的な学校生活や社会生活で使えるような理解を深めていく
図表の内容を理解し、作成したりする
・ゲームの結果を○×で表に表したり、絵グラフを作成する
・気温の変化、作業学習における日々の生産量、体重の月ごとの変化などを、棒グラフや折れ線グラフの作成や理解させるなどの指導

「実務」の観点
(4)金銭や時計・暦の使い方に慣れる
ポ イ ン ト 学 習 内 容
金銭の使い方に慣れる ・簡単な両替をしたり買い物をすることを意味する
例えば、
生活の中での買い物について、お金を適切に出せたり、おつりをきちんと数えて受け取れることなどを重視する
・貨幣の種類を指導
・お金が正しく数えられるようにする
・両替などの等価関係についての理解
具体的には、
・1,000円、2,000円という考え方を通して、1,000円単位の理解を図る
・157円の買い物では、200円を支払えばおつりがもらえる、という購入金額以上の金額を支払う概算ができる
・調理の際の食料品、書籍・CDなど、興味・関心や生活の中での必要性を重視したい買い物など
消費についての指導
・物品には定価があること
・購入する際には消費税を支払う必要があること
・計画的な消費をするために預貯金の指導やこづかい帳の指導
時計の使い方に慣れる 時計の仕組みの理解
・長針、短針の働き方、それらが表している意味、文字盤についてなど
・正確に時刻を読み取る、単位関係の理解などを意味する
・時刻の指導では、時と分、丁度○時、○時半、○時少し前、そして10分単位、5分単位、1分単位へと細かなステップで指導
・時間を量としてとらえる
・生活の様子を考える際に「公共施設」の内容と関連付けると一層理解しやすい
・学校の時間割、遠足などの日程表、バスの時刻表など、生活と関連付けて指導
暦の使い方に慣れる カレンダーのおおよその仕組み、どんなときに使うのか、去年、今年、来年などの年の流れ、年号の使い方
・○月○日は○曜日
・あと○日で休日
・今度の遠足は○日の○曜日
・来年は西暦○○年(平成○○年)
・学校生活の中で日課表や行事や行事予定表などと関連付けて指導